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過敏性腸症候群(IBS)

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome)は、<腹痛または腹部不快感が排便、あるいは便通の変化と関連して発生し、排便障害を呈するもの>と定義される。炎症や腫瘍などの器質 的病変が存在しないにも関わらず、大腸を中心とした下部消化管の機能異常により、腹痛、腹満感などの慢性の腹部不快感、便秘、下痢などの便通異常をきたす症候群である。

日本の20〜79歳成人におけるIBS有病率は12.5%との報告があり、患者数は1200万人と推計されるが、実際に医療機関を受診するIBS患 者は少なく、全体の約20%程度であると推測されている。20〜40歳代に有病率が高いと考えられ、男女比は1:2〜3で男性は下痢型、女性は便秘型が多 い。

<IBSの病因、病態>  

 1、消化管運動異常: ストレスや食物摂取などの刺激などの刺激に対する大腸・小腸の運動亢進である。

 2、消化管知覚過敏: 内臓痛(腸管拡張)に対する閾値が低下している為、少しでも大腸内圧が上昇すると腹痛を自覚する。

 3、心理的異常: 抑うつ、不安、身体化(原因となる身体の異常が見当たらないが、痛み、胃腸障害、性的症状、神経障害など複数の身体症状が繰り返し発生する重度の慢性障害)である。

<IBSの診断>

IBSのRomeV診断基準   腹痛あるいは腹部不快感が最近3ヶ月の中の1ヶ月につき少なくても3日以上を含め、下記の2項目以上の特徴を示す

    1、排便によって改善する  2、排便頻度の変化で始まる  3、便形状(外観)の変化で始まる

少なくても診断の6ヶ月以上前に症状が出現し、最近3ヶ月間は基準を満たす必要がある。腹部不快感とは、腹痛とは言えない不愉快な感覚をさす。病態生理研究や臨床研究では、腹痛あるいは腹部不快感が1週間につき少なくとも2日以上を占める者が対象として望ましい。

IBSの分類(ROMEV)

1、便秘型IBS(IBS-C) 硬便 or  兎糞状便が便通形状の25%以上、かつ、軟便 or 水様便が便通状の25%未満 

2、下痢型IBS(IBS-D)  軟便 or  水様便が便形状の25%以上、かつ、硬便 or   兎糞状便が便形状の25%未満

3、混合型IBS(IBS-M) 硬便 or  兎糞状便が便形状の25%以上、かつ、軟便 or  水様便が便形状の25%以上

4、分類不能型IBS(IBS-U)   便形状の異常が不十分であって、IBS-C,IBS-D,IBS-Mのいずれでもない。

<IBSの治療>

IBSの治 療の目標は治癒ではなく、症状のコントロールである。そして、完全な症状のコントロールではなくて日常生活に支障を及ぼさない(QOLをあまり低下させな い)レベルが現実的な目指すゴールである点が重要である。すなわち、100%を求める事自体がIBSのコントロールを困難にする(症状を憎悪させる)原因 となりうるからである。

非薬物療法(生活指導を含む)患者の日常の生活習慣について見直し、症状の引き金や憎悪因子があれば、これを認識してもらう。食事や睡眠を規則的に摂ること、ストレスの上手な軽減、香辛料、アルコール、高脂肪食、比吸収性糖類などの過度な摂取の制限、高繊維の摂取などが勧められる。 

薬物療法 高分子重合体や消化管運動調節薬を投 与し、改善が認められない場合には、症状に応じて下痢には乳酸菌製剤、腹痛には抗コリン薬、便秘には下剤を使用する。これで、改善しなければ2段階に移 る。便秘には消化管運動賦活薬、下痢にはロペラミドを投与し、ストレスや心理的異常の関与が大きければ、病態に応じて抗不安薬や抗うつ薬を使用する。

  主要IBS治療薬

5−HT3受容体拮抗薬   イリボー       高分子重合体     コロネル ポリフル

消化管運動調整薬  セレキノン   抗コリン薬  トランコロン、トランコロンP,チアトン、イリコロンM

止痢薬  ロペミン            整腸薬   ビオフェルミン