[ 2014/01/30 ]
電子顕微鏡でロタウィルスを観察すると外層と内層からなる車輪の様な二十殻構造が特徴的で、ロ タという名前も車輪を意味するラテン語に由来しています。 ロタウィルス粒子には脂質からなるエンペロープ(膜)がないので、消毒剤などには比較的抵抗性で す。 電子顕微鏡下での直径は約70nmですが、表面から約12nmのスパイクが飛び出している ので、本当のウィルス粒子の直径は100nm近くになります。 ウィルスのゲノムは、2本鎖RNAであり、11本の分節としてウィルス粒子内のコア内に格納され ています。 分節状のゲノムをもつウィルスの特徴として、2種類のウィルスが同時に感染したときに 文節間の組み換えを起こすこと(リコンビネーション)がよくあり、新しい遺伝子型のロタウィルスが出 現するメカニズムになっているばかりでなく、この性質を利用して後で解説する多価ワクチンも作ら れています。この様なゲノム分節の組み換え体は、リアソータントと呼ばれています。 ロタウィルスに対する中和抗体(ウィルスに結合して感染症を失わせる抗体)は、ロタウィルスの 粒子表面を構成する外層たんぱく質と粒子表面から突出しているスパイクたんぱく質の2つの たんぱく質に独立に向けられています。 粒子表面のたんぱく質とスパイクたんぱく質の抗原型は、それぞれG型及びP型と呼ばれ、多数の 抗原型の存在が知られています。 さらに、G及びP型の型別頻度は流行年により変化します。 わが国で検出されるヒトロタウィルス の95%以上は5つに集約されます。
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