[ 2014/03/10 ]
1、学童〜成人における急性胃腸炎の集団発生です。患者が脱水により重症化することは稀であり、 発熱も38℃を超えることはほとんどありません。一度に多数の患者が発生しますが、個々の患者を みると入院加療を必要とするような症例はほとんどありません。 2、乳幼児の急性胃腸炎で、症例2がこれに相当します。この症例は軽症に経過しましたが、ロタウィ ルスによる胃腸炎と同様に重症になる症例もあります。つまり、ノロウィルス胃腸炎が比較的軽症 なのは、学童〜成人における急性胃腸炎の集団発生について言えることで、すべてのノロウィルス 胃腸炎にあてはまるわけではありません。 3、医療関連施設にあける高齢者の施設内感染です。嘔吐物の誤嚥による窒息基礎疾患の悪化 などによる死亡例が発生することがあります。基礎疾患のある患者では、血中のカリウム低下、 C反応性たんぱく質値の上昇、クレアチニンキナーゼ値の上昇などが見られます。高齢者はあまり 症状を訴えないことが多く、この症例のように発症後排尿がない場合は脱水があることを示している ので早期に点滴静注により補液しておくのが賢明です。 4、成人の散発生胃腸炎です。最近の研究によれば、ノロウィルスが日常的に遭遇する成人の散発 性胃腸炎の約25%の原因となっているようです。今後、散発性胃腸炎におけるノロウィルスの病因 的役割が明らかになるとともに、ノロウィルスの集団発生との関連など公衆衛生上の重要性が明ら かになってくると思われます。
|